機能障害の成因(1)組織の器質的変化


徒手医学と機能障害-知っておきたい基礎知識3

【機能障害の成因】軟部組織の器質的な変化-短縮と延長-

機能障害の成因をまとめてみたい。まずは「軟部組織の器質的な変化」であるが、これはどういうものか。

筋肉や靭帯、筋膜が縮んでしまった。腫れたりした後は組織が縮んでしまう。そんな状態で短い軟部組織ができ上がるとその短い組織が延ばされるような方向の動きが阻害されてしまう。そのような状態をバリア・制限という(短縮した組織による制限=バリア)。

またその逆もある。グッと伸ばしてしまった、皆さんも「スジを伸ばしちゃった」という話をよくすると思うが、捻挫だったら軽度・1度ということになるが、ああいった問題なども関節を本来の動ける方向にガイドしているような組織-靭帯など-それが伸びてしまったら伸びたところから運動が起きてしまう。本当はまっすぐ動かしたいのだが、千切れたところから反対側の側屈も入ってしまったりする、そんなイメージ。これも関節機能障害。正しい運動ができないという背景から起きてしまう。

硬くなっていたら伸ばせばよい、ストレッチをすればよい。では、伸びてしまったらどうすればよいか。これも固定をすればよい。

僕らの身体はストレッチをしないとどうなるか。硬くなる。大きく動かさなければ狭い範囲で動かしているとその狭い範囲でしか動けないくらいの長さの組織に入れ替わってくる。適合性の短縮と言って筋繊維が短くセットされてしまったりということがある。動かさないことで、筋膜組織も硬く目詰まりを起こしてくる。可動による線維化というのを起こしてしまう。そんな変化が起こってくるわけなので当然靭帯組織なども伸ばしていかなければ、固定している間にだんだん短くなってくる。しばらく固定した状態で正しい位置関係での運動だけを許すような環境をつくっているわけで、そうやっていけば硬さはある程度は戻ってくる。

戻りきらなかった部分に関してはどうか。筋肉を上手に働かせて、あたかも腱がそこで働いているような軌跡で運動を起こせるように学習、神経系に教え込むことをする。これがリハビリテーションの実態だ。これが軟部組織の変化に対してということになる。

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