高齢者へのスイッチバックテクニックの応用方法
多くの場合、高齢者へ応用する場合に苦心するであろう点は、伸長相だと思います。
組織の脆弱性が考えられるクライアントへはあらゆる徒手的介入がそうであるように、スイッチバックテクニックも愛護的に行う必要があります。
その際の留意点は、伸長相に入り標的とした筋膜ユニット全体にテンションが広がる際にそのテンションの強さを術者が感じ得る「ミニマム」に抑えるよう心がけてください。
また、関節面が荒廃しているケースでは、長軸方向への牽引を意識するとスムーズに操作ができます。
可動制限の強い患者への応用について
可動制限の強い場合も操作の条件は変わりません。
弛緩層では組織に抵抗の低い方向へと導くことに集中し、伸長相では許容される可動域内で標的とした筋膜ユニット全体にかけたテンションを途切れさせずに複合滑車を再現してゆくことになります。
伸長相での操作において、反転相の基点となる関節が持つ「解剖学的可動限界」での操作を展開するものと誤解されることがあるように思います。
しかし、あくまで「標的とした筋膜ユニット全体」にかかるテンションを一定に保ったまま操作をしてゆく点にご注意ください。
不安定な(痛みを誘発しやすい)患部への応用について
すべての徒手的技法において、その技法の効果を安全かつ最大に引き出せるか否かは術者の適否の鑑別(急性・慢性の判断力)と触診の感度に左右されます。
「医療」として徒手医学の技法を活用する場合、各技法の操作に十分に習熟した上で利用しましょう。
解説:古川容司(スイッチバックテクニック開発者/非営利型一般社団法人徒手医療協会 代表理事)