徒手医学と機能障害-知っておきたい基礎知識2
【機能障害とは】
機能障害とはなんであるか、ということを皆さんと共有したい。
例えば、簡単に言うと関節の動きが悪い、思った通りに動かない。だがレントゲンやMRIを撮っても画像的・視覚的には問題がないような状況を考える。例えば、二頭筋がグーッと縮んでしまったと考える。縮んでしまったら肘は伸びるか? いや、伸びない。肘を伸ばすという機能が障害されている。つまり、機能障害であるという意味合いになる。
二頭筋が縮んだという状態はMRIにかけようがレントゲンを撮ろうが映らない。MRIで断層写真を撮っても硬いかどうかは分からない。そういった意味では原因不明とされてしまう。原因不明なんだよねと言われている痛みの多くが機能障害であったというオチは多い。
【外傷について】
捻挫などでも、例えばバキバキバキと足首を内側に返してしまって内反捻挫をしたとする。靭帯が伸びたりちぎれたりする。ただ、その千切れて腫れている時、出血している時、急性期と言われる次期にストレッチをかけようとは思わない。傷口を開くような行為ではなくてむしろ傷口を閉じるような形で安静にする。ではそれで何を待つと言えば、自然と身体が傷を治してくれるのを待つ、その時に最大限の仕事としては、少しでも治りやすい状況を整えるというのがまっとうな治療と言える。
つまり急性期は残念ながら(徒手療法の)適応ではない。だけれども、その捻挫や外傷であったとしても傷が癒えて「瘢痕治癒」という状況になってきたら、これは一転して慢性期であり、機能障害としての対処ができる時期になる。外傷は機能障害の適応ではないと考えられてしまいがちだが、実は時期を待てば機能障害として対応ができるものである。