外反母趾のセルフケア

外反母趾についてお話しします。(※セルフケア動画は文中にあります)
足の土踏まずには3つのばねがあります。

図版引用_カパンディ_関節の生理学下肢編_01
図版引用:『カパンディ 関節の生理学_下肢編』より

親指側から踵に向けた「内側縦アーチ」
小指の付け根から延びる中足骨のお尻から踵の間に「外側縦アーチ」
五本の指の付け根でできた「横アーチ」
これらのアーチは足の指を動かす筋肉たちと靭帯で支えられています。

そこを踏まえて…

現代の生活は靴を履いての生活ですよね。とがった小石もガラスの破片も何のその!
靴は現代の僕らには欠かすことのできないツールの一つです。

とっても便利な反面、足の指は使われにくくなっています。
その証拠に足の指の短い人が多いこと多いこと。
特に小指なんて爪がない方や骨自体が一個足りないなんてことすらあるそうです。
要は退化しているということでしょう。それだけ足の指は使われていないんですね。

これらのアーチが保たれ、適度に働いてるうちにはそうそう悪いことにはなりません。
しかし、運動習慣の喪失、生活上での運動強度の低下…要は便利な道具で楽していると、
アーチを支える筋肉も痩せ衰えるんですね。
するとどうなる?
アーチはぺったんこにつぶれちゃいますね。そう、偏平足になるってことです。

偏平足で横アーチも広がると、足先の幅は横へと扇のように広がってしまいます。
でも、靴は今まで通りに足先を締め上げますね。
するとどうなる?

親指と小指は中指の方向へぐいぐい押し込まれることになりますね。
そうした状況が続くと、親指と小指の指の付け根の靭帯が伸びてゆきます。
すると時期にグラついた関節が出来上がります。
その状況が続くと今度は関節が変形してゆきます。

外反母趾も行ききってしまうと骨を切って整復する手術が必要になります。

そうなる前に試してもらいたいのが動画のエクササイズです。
これ、僕のオリジナル。

手入れの前に踵と親指の付け根をぴったり揃えて、親指の間に指何本分の隙間があるのか確認してから始めてください。
もちろん手入れの後にも同じチェックをしてください。
多くのケースで改善を見ることになるでしょう。

このエクササイズは、外反母趾や内反小指のほかにも、偏平足や、なんとハイアーチにまで聞いてくれる優れものです。
偏平足とハイアーチなんて真逆の状態なのになぜ同じエクササイズで効果を引き出せるのか不思議に思われるかもしれません。

このエクササイズは、骨の位置を正すストレッチ的なものではなく、足、という器官の「機能=働き」を取り戻す、という仕組みで成り立つものなんです。

なので、足の機能の崩れ全般に効果を発揮してくれるということなのです。
もちろん、万能ではありません。
炎症がある最中は使うことができませんし、変形が進んだ状況では大きな変化が得られないこともあるでしょう。
ま、変形のケースで炎症が落ち着いていたら「トライアル」で行うも良しですが。
ともあれ、エクササイズを行う場合は「自己責任」でお願いします。
迷ったら専門家へ相談ましょう。

おっと、もう一つ言い忘れたことがありました。

外反してしまった親指を元の位置に戻す筋肉たちや足のアーチを保つ筋肉たちは、5番目の腰椎あたりから神経が伸びてきます。
ですので、腰の付け根が不安定だと上手に目的の筋肉を使うことが難しくなるんです。
『自分はどうか?』
と思われたら、うつ伏せになって脚を自力持ち上げてみてください。
挙がりにくかったり、腰の付け根に引っ掛かりを感じる場合は「黒」である可能性も高いです。

そんなケースでは、お尻の筋肉を鍛えることも重要です。
そんな問題にはこちら「走るための体幹トレーニング2」がおすすめです。
タイトルには「走るための」とありますが、紹介したエクササイズは「身体を機能させる」ためのエクササイズですのでここで紹介したケースにも有効です。

難しかったら、こちら「ソフトジムを使用した脊柱安定性向上エクササイズ」*もお勧めです。
脊柱と骨盤の支えに使われる筋肉(姿勢筋)と手足を動かす筋肉(相動性筋)の働きを正常化するのに役立ちます。
脊柱の安定性を高めることができるので、腰痛や頚椎症なんかの治療でセルフケアエクササイズとしてお勧めすることもあります。
⇒*こちらの動画は未編集のため動画内に説明がありませんが、シンプルなエクササイズですので同じように実施してください。

はじめにどれだけ反れるのかをチェックしましょう。
脚に挟むものは脚が腰幅になるような厚みの物、枕でもタオルでのなんでもOKです。
内腿の付け根に近い部分に挟んで後ろ歩きを20~30秒行ってみてください。
エクササイズの前後で股関節の後方への動きが大きくなっていることにお気づき頂けると思います。
このエクササイズを終えたら前出の親指のチェックをしてみてください。
腰椎からの影響が大きかったケースでは、外反の程度に変化がみられます。

(文責:古川容司)


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